エピソード
成田山新勝寺の大本堂の奥に広がる16万平方メートルを超える大庭園。滝や池を配した回遊式の公園で、紅葉と梅の名所として知られる。ここは千年以上の歴史を持つ祈祷の寺の境内であり、心霊スポットというより「霊場」そのものである。園内の滝は水行の場としての性格を持ち、公園全体が信仰の空間の延長にある。
噂として語られるのは、閉門間際の静まった園内で白装束の人影を見た、誰もいない滝の音に読経のような声が混じって聞こえた、池のほとりで視線を感じた、といったもの。ただし白装束については、実際に水行や参拝の人である場合も多く、霊場ゆえに「見間違いと本物の区別がつかない」のがこの場所の面白いところでもある。祈祷の寺として、様々な願いや思いを抱えた人々が千年集まり続けてきた場所の空気は、昼間でも独特の密度がある。
現地は成田山参拝とセットで散策できる名園で、拝観は日中に限られる。信仰の場である以上、肝試しの対象にする場所ではない。参道の賑わいから一歩入った園内の静けさに、祈りの場の「気配」を感じてみてほしい。