エピソード
市川市の中心部、国道14号沿いに残る小さな竹藪。間口わずか十数メートルのこの藪は、「入ってはならない禁足地」として江戸時代から知られ、「八幡の藪知らず」の名は「出口のわからないこと」の代名詞として辞書にも載るほど有名になった。水戸黄門が足を踏み入れて神の怒りに触れた、という講談まで生まれている。
なぜ禁足地なのかは諸説あり、将門伝説に関わる地だから、神域だから、底なし沼があったから、と語られてきたが、確かなことはわかっていない。理由が不明のまま「とにかく入ってはいけない」という戒めだけが数百年守られてきたことこそ、この場所の凄みである。入った者は出られない、神隠しに遭う、と語り継がれてきた。
藪の前には不知森神社の小さな祠があり、参拝はここから。柵で囲われた藪は今も禁足が守られている。都市の真ん中に「入らずの森」が現存する、日本でも屈指の伝承地である。