エピソード
市川市国府台、江戸川を見下ろす台地の上にある公園。桜の名所として親しまれているが、この地は戦国時代、里見氏と北条氏が激突した国府台合戦の古戦場である。二度の合戦で数千人規模の死者が出たと伝わり、園内には合戦にまつわる史跡が残る。中でも知られるのが「夜泣き石」の伝承で、合戦で父を失った姫がこの石のそばで泣き明かして果て、以来、夜になると石から泣き声が聞こえるようになったと語り継がれてきた。
噂は古戦場の歴史と直結している。夜の園内ですすり泣く声を聞いた、木立の間に武者のような人影を見た、夜泣き石の周辺で写真に異変が写った、といった話が代表的だ。国府台の台地は近代には軍の施設が置かれた土地でもあり、幾層にも重なった歴史が、この公園の噂に厚みを与えている。
昼間はバラ園と桜で知られる明るい公園で、展望台からは江戸川と東京側の眺望が広がる。夜泣き石は今も供養の対象であり、面白半分に扱う場所ではない。歴史を知ってから歩くと、桜の名所の風景が違って見えるはずだ。