エピソード
長崎港の沖に浮かぶ端島、通称・軍艦島。海底炭鉱の島として栄え、最盛期には東京の9倍を超える人口密度で5千人以上が暮らしたが、閉山とともに全島民が離島し、日本初の鉄筋コンクリート高層アパート群が丸ごと廃墟として残された。その艦影のようなシルエットは世界的に知られ、世界遺産の構成資産にもなっている。
語られる噂は、廃アパートの窓に人影が見えた、無人の島から生活音のような物音が聞こえた、上陸中に視線を感じた、といったもの。一つの町の暮らしが突然止まったままの風景は、怪談を持ち出すまでもなく圧倒的である。海底炭鉱の労働の過酷さ、そこで失われた命の歴史も、この島の記憶の一部である。
上陸は認可された上陸ツアーのみで、見学通路以外への立ち入りは禁止。崩壊が進む建物群は、船上と通路から見るだけでも一生ものの光景である。