エピソード
山形市と宮城県川崎町を結ぶ旧街道の峠。古代から出羽と陸奥を結ぶ交通の要衝で、江戸時代には多くの旅人が越えたが、冬の峠は雪に閉ざされる難所であり、行き倒れた旅人を弔う地蔵や供養碑が峠道に点在する。現在は高速道路のトンネルが山を貫き、旧道の峠は通る車もまばらな静かな山道になった。
語られる噂は、旧道のカーブで旅装の人影を見た、霧の中を歩く人とすれ違ったが振り返ると誰もいなかった、峠の駐車場で夜に声を聞いた、といったもの。千年を超える峠の歴史には、越えられなかった旅人たちの記憶が積み重なっており、峠の地蔵はそうした死者を弔うために置かれたものである。旧道は冬季閉鎖され、霧の発生も多い。ハイキングコースとしては眺望のよい峠であり、日中に地蔵に手を合わせながら歩けば、旧街道の歴史が肌で感じられる道である。