エピソード
湯沢市の山中に眠る、かつて「東洋一」と呼ばれた銀山の跡。江戸初期の開山から300年以上にわたり採掘が続き、最盛期には1万人を超える人々が山中の鉱山町に暮らした。過酷な坑内労働で命を落とした者も多く、閉山後の山中には墓地や神社、異人館と呼ばれた洋館の跡などが静かに残されている。
語られる噂は、坑口の周辺で人影を見た、山中から作業の音のような響きを聞いた、墓地のあたりで写真に異変が写った、といったもの。鉱山という場所は常に死と隣り合わせの労働の場であり、この山に眠る無数の無名の墓が、噂の背景にある歴史の重さを物語っている。現地は山深く、坑口への立ち入りは崩落の危険があるため禁じられている。石垣や墓地を巡る散策は日中に、ここが多くの人々の生きて死んだ町であったことへの敬意とともに歩きたい。