エピソード
伊佐市の鶴田ダム湖に眠る、明治期の水力発電所の遺構。煉瓦造りの洋館のような建物は、ダム建設によって湖底に沈んだが、毎年渇水期になると水面から姿を現す。「湖から浮かび上がる廃墟」という他に類のない光景は、中世ヨーロッパの城跡のようだと評され、多くの人を惹きつけてきた。
語られる噂は、現れた遺構の窓に人影が見えた、夜の湖面に建物の影が揺れていた、遺構の方から音が聞こえた、といったもの。年の半分を水中で過ごす建物という存在そのものが、この世とあの世を行き来しているような趣がある。上流の曽木の滝は「東洋のナイアガラ」と呼ばれる名瀑で、こちらにも古い言い伝えが残る。
遺構は展望所から眺める形で、出現時期は例年夏から秋の渇水期である。滝と遺構をセットで巡るのが伊佐観光の定番である。