エピソード
玄界灘の沖合に浮かぶ孤島。島そのものが宗像大社沖津宮の御神体であり、「神宿る島」として世界遺産に登録された。この島の掟は徹底している。一般人の上陸は原則禁止、かつては上陸前に海で禊を行い、島で見聞きしたことは「お言わず様」として口外してはならず、一木一草一石たりとも持ち出してはならない――。古代から現代まで、禁忌が現役で生きている日本唯一級の島である。
4世紀から9世紀の祭祀遺物が手つかずで残り、「海の正倉院」と呼ばれる約8万点の出土品はすべて国宝となった。禁忌が守られ続けたからこそ、千数百年前の祈りの跡がそのまま残ったのである。
島に渡ることはできないが、宗像大社の辺津宮と大島の中津宮から遥拝できる。「立ち入ってはならない場所」の最高峰として、遠くから拝む作法ごと味わう島である。