エピソード
奈半利から野根へ、山の稜線を縫って続く藩政期の古道。参勤交代にも使われた土佐東部の幹線だったが、幕末、この街道は悲劇の舞台となる。藩論に殉じて脱藩を図った武士たち二十三名が捕らえられ、護送の末に処刑された「二十三士」の事件であり、街道沿いと奈半利には彼らを悼む墓所と碑が残されている。
語られる噂は、古道で武士の人影を見た、峠で誰かに呼ばれた気がした、霧の中に列をなして歩く影が見えた、といったもの。杉並木と石畳が残る古道は昼でも薄暗い区間があり、幕末の悲話がその静けさに重なって語られてきた。
現在はロングトレイルのコースとして整備され、一里塚や宿場跡を辿る歴史ウォークが楽しめる。歩き応えのある山道なので装備は登山に準じて。若い志士たちの墓に手を合わせてから歩きたい道である。