エピソード
関門海峡に面した、平家滅亡の地。寿永4年、源平最後の合戦がこの海で行われ、幼帝・安徳天皇は祖母に抱かれて入水、平家一門は海に散った。海峡を望む赤間神宮は安徳天皇を祀り、境内には平家一門の墓「七盛塚」が並ぶ。そしてこの神宮こそ、怪談「耳なし芳一」の舞台である。平家の亡霊に琵琶を所望された盲目の法師の物語は、この土地の記憶そのものと言っていい。
語られる噂は、夜の海峡に武者の姿が見えた、七盛塚の前で琵琶の音を聞いた、海から声が聞こえた、といったもの。壇ノ浦に現れるカニの甲羅が平家の怨念と語られる「平家蟹」の伝承も有名である。
赤間神宮は竜宮造の美しい社殿で、関門橋を望む景観も良い。八百年前の滅びの物語が神社と怪談と蟹にまで宿る、日本屈指の伝承地である。