エピソード
京都と丹波を結ぶ老ノ坂峠の旧道に鎮座する小さな社。祀られているのは、大江山で源頼光らに討たれた鬼の頭領・酒呑童子の首と伝えられる。都へ運ばれる途中、首がこの峠で急に重くなって動かなくなったため、この地に埋めて祀ったという伝承であり、日本の鬼伝説の中でも最も有名な物語の終着点である。
首から上の病にご利益があるとされ、静かに信仰されてきた社だが、峠の旧道という立地ゆえに心霊スポットとしても知られるようになった。社の周辺で異変があった、写真に何かが写った、峠道で気配を感じた、といった噂が語られる。
旧道は現在ほとんど車が通らず、昼でも薄暗い。参拝するなら日中に、鬼の首を千年祀り続けてきた土地の物語への敬意とともに。社を荒らすような行為は、伝承を信じるかどうか以前の問題である。