エピソード
神戸の背山を越える古道の峠。源平合戦の一ノ谷の戦いで、源義経が騎馬で断崖を駆け下る「逆落とし」を敢行したと伝えられる伝説の地である。この奇襲で平家方は総崩れとなり、多くの武者が谷で命を落とした。周辺には平家ゆかりの塚や供養碑が点在し、現在は広大な墓園が広がる、神戸の「死者の山」でもある。
語られる噂は、夜の峠道で武者の人影を見た、谷から馬のいななきのような音を聞いた、墓園の中で灯が動いていた、といったもの。八百年前の合戦の記憶と現代の墓園が重なるこの土地は、神戸の怪談で繰り返し語られてきた。
現地は電車でも行ける身近な山で、ハイキング道が整備されている。義経伝説の地を訪ね、須磨・一ノ谷方面へ歩けば、源平の歴史を体感できるコースになる。墓園は静粛に。