エピソード
金鯱で知られる徳川御三家筆頭・尾張徳川家の居城。天下普請で築かれた巨大な城郭は、築城時に多くの人足が過酷な工事に従事し、人柱の言い伝えも残る。そして昭和20年の空襲では、国宝だった天守と本丸御殿が焼失し、城とともに多くの市民が犠牲になった。金の鯱が炎の中で溶け落ちたこの夜は、名古屋の歴史に深く刻まれている。
語られる噂は、夜の堀端で人影を見た、閉門後の城内に灯が見えた、櫓の窓に人の姿があった、といったもの。空襲の記憶と結びついて語られる話も多く、城の周辺には戦災の慰霊碑が点在する。
現在は本丸御殿が往時の姿で復元され、名古屋観光の中心として賑わう。昼間の城内で豪華絢爛な御殿を見たあと、堀端で空襲の歴史に触れると、この城が背負ってきたものの大きさがわかる。夜間は閉門されるため、噂を確かめる機会はそもそもない。