エピソード
津市の山中に残る鉄道の廃トンネル。かつて近鉄大阪線の単線区間だったこのトンネルでは、昭和46年に列車同士が正面衝突し、20名を超える乗客が亡くなる大事故が起きた。事故を機に路線は複線の新線に切り替えられ、旧線のトンネルは山中に取り残された。三重県内で最も知られた心霊スポットであり、その背景には実際の事故の歴史がある。
語られる噂は、坑内で人影を見た、旧線路跡で人の声を聞いた、ライトの先に立つ姿が見えた、といったもの。廃線トンネルの闇は深く、音の反響も強いため、環境が生む錯覚もあるだろう。ただし、ここで大勢の人が突然命を落としたのは噂ではなく事実であり、現地には慰霊碑が建てられている。
廃線跡は私有地・立入制限のある区間を含み、内部は崩落の危険もある。興味本位で立ち入る場所ではなく、訪れるなら慰霊碑に手を合わせ、鉄道の安全の礎になった事故として記憶したい。