エピソード
飯能市郊外の丘陵に残る明治期の煉瓦造りの隧道。素掘りに近い狭い坑内と煉瓦巻きの坑口が当時のまま残り、埼玉県内の心霊スポットとして最もよく名前の挙がる場所の一つである。新道の開通で旧道となった現在は通る車もほとんどなく、緑に埋もれた坑口が薄暗く口を開けている。
語られる噂は、坑内で白い人影を見た、天井から見下ろされている気配がした、坑口で撮った写真に異変が写った、といったもの。かつてこの周辺で語られた別の噂と結びつけられて広まった経緯もあるが、その多くは出所の曖昧な伝聞である。明治の隧道は音の反響が強く、狭い坑内では自分の足音すら他人のものに聞こえる。
現地は生活圏に近い里山であり、周辺には民家も畑もある。夜間の騒音や路上駐車は確実に迷惑になるため、訪れるなら昼間、明治の土木遺産を見る目的で。煉瓦の坑口は、心霊抜きでも一見の価値がある。