エピソード
青森市の南にそびえる火山群。明治35年、雪中行軍の訓練中に陸軍の部隊が猛吹雪に遭い、199名が命を落とすという世界の山岳史でも類を見ない遭難事故が起きた山として知られる。この事故は後に小説や映画で広く知られることになり、山中には遭難者の像や慰霊碑が建てられている。
語られる噂は事故と結びついたものが多く、吹雪の中に隊列を組んで歩く兵士の姿を見た、山中で号令のような声を聞いた、慰霊碑の周辺で写真に異変が写った、といった話が代表的である。自衛隊や登山者の間でも古くから語られてきたとされ、雪山の白い闇がもたらす幻覚や錯覚と切り離せない面もある。現在の八甲田はロープウェーで気軽に登れる観光と登山の山だが、冬の厳しさは今も変わらない。慰霊碑は多くの若者が亡くなった場所を悼むものであり、訪れるなら手を合わせてから山を歩きたい。