エピソード
能登金剛の景勝地、日本海に垂直に落ちる断崖。松本清張『ゼロの焦点』のクライマックスの舞台として一躍有名になり、鉛色の冬の日本海と断崖の風景は「サスペンスの聖地」の原点となった。名の由来は、土地が痩せていたからとも、崖に立つと身が痩せる思いがするからとも伝えられる。
その高さゆえに悲しい出来事も語られてきた場所であり、断崖の突端に人影が立っていた、波音に混じって声が聞こえた、といった噂が語られる。すぐ近くには義経が舟を隠したと伝わる義経の舟隠しもあり、源平の落人の記憶も重なる海岸である。
能登地震で崖の形が変わり、先端への立ち入りは制限されている。展望は柵の内側から十分に楽しめる。冬の荒波の日に訪れれば、清張が描いた「日本海の暗さ」が体感できる場所である。