エピソード
紀淡海峡に浮かぶ無人島群。明治期、大阪湾防衛のため島全体が要塞化され、煉瓦造りの砲台や地下弾薬庫が築かれた。終戦まで一般人の立ち入りが禁じられた「地図から消された島」であり、今も緑に呑まれた砲台跡が島中に残る。その幻想的な風景は「ラピュタの島」と呼ばれ、多くの観光客を集めている。
心霊の噂として、砲台跡で兵士の人影を見た、真っ暗な地下弾薬庫で声を聞いた、誰もいない建物から足音がした、といった話が語られる。照明のない地下遺構の闇は完全で、懐中電灯なしでは一歩も進めない。要塞の島という来歴が、その闇に物語を与えている。
加太港から船で渡り、日帰りでハイキングできる。船の最終便を逃せば無人島に取り残されるため、時間管理は必須である。戦争遺跡としても一級の島を、明るいうちに歩き切りたい。