エピソード
織田信長が天下統一の拠点として築いた幻の城。地上6階の豪壮な天主は当時の日本に類例のない高層建築だったが、本能寺の変の直後に焼失し、わずか数年でこの世から消えた。石段の大手道と壮大な石垣、そして天主台の礎石だけが山上に残り、「幻の城」の名にふさわしい静寂に包まれている。
語られる噂は、夜の天主跡に灯が見えた、大手道を上る人影があった、山中で誰かに見られている気がした、といったもの。城とともに焼け、あるいは変後の混乱で命を落とした人々の記憶、そして信長という人物の強烈な残像が、この山の噂に独特の色を与えている。摠見寺の跡には信長ゆかりの三重塔が今も立つ。
拝観は日中のみで、大手道の石段を登り切った天主跡からは琵琶湖と近江平野が広がる。天下人が見た最後の景色を追体験できる、歴史ファン必訪の地である。