エピソード
彦根の東にそびえる佐和山に残る、石田三成の居城跡。「三成に過ぎたるもの」と謳われた名城は、関ヶ原の敗戦直後に東軍の攻撃を受けて落城した。城内にいた三成の一族や家臣、女性たちの多くがこのとき命を落としたと伝えられ、湖東の歴史でも指折りの悲劇の舞台である。城の資材は彦根城の築城に転用され、山上には石垣の残片と曲輪の跡だけが残る。
語られる噂は、山道ですすり泣きを聞いた、山上で甲冑の人影を見た、落城の日の前後に灯が見えた、といった落城伝承と結びついたもの。彦根城の華やかさと対照的に、佐和山は訪れる人も少ない静かな山であり、その落差がかえって想像力を誘う。
登山道は整備されており、山頂からは彦根城と琵琶湖が一望できる。三成人気で訪れる歴史ファンも増えた。昼間のハイキングで、勝者の城と敗者の城を見比べる歴史散歩が似合う場所である。