エピソード
福島市と猪苗代方面を結ぶ国道の旧道に残る隧道。新道の開通で役目を終えた旧トンネルは、苔むした坑口が山中に取り残され、県内の心霊スポットとして古くから名前が挙げられてきた。峠越えの難所だった旧道には交通事故の記憶も刻まれており、それが噂の下地になっている。
語られるのは、坑内で白い人影を見た、通り抜ける途中で複数の足音が反響した、坑口の前で車のライトが不安定になった、といった旧隧道の定番形の噂である。廃トンネルは音の反響が強く、水滴や風の音が人の声や足音に化けやすい環境であることは、公平のために書き添えたい。旧道は現在、通行が制限されている区間があり、路面の荒廃も進んでいる。冬季は積雪で近づくことすら難しい。訪れるなら夏の日中、旧道の廃隧道という土木遺産を見る目的で、規制表示に従って歩くのが良いだろう。